友人宅でVRチャットを体験したら、語学学習の未来が見えた話
友人宅でVRチャットを体験したら、語学学習の未来が見えた話
5 min read
— views
目次

先日、大学時代の友人の家に遊びに行った。

リビングに置いてあったMeta Quest。「これ、やってみなよ」と渡されて、軽い気持ちでVRチャットを体験してみた。

正直、VRチャットに対しては「ゲーマーがアバターで遊ぶやつでしょ」くらいのイメージしかなかった。まさかそこで、語学学習の未来を見ることになるとは思わなかった。

VRチャット初体験:目の前に「人」がいる衝撃

ヘッドセットを装着して最初に感じたのは、没入感の圧倒的な違いだった。

画面越しのビデオ通話とは全然違う。目の前に人がいる。アバターなんだけど、距離感とか存在感がリアルで、本当にその人と同じ空間にいる感覚がある。

友人が英語のワールドに連れて行ってくれた。そこには世界中から来ている人たちがいて、英語でワイワイ喋っている。「話しかけてみなよ」と言われて、緊張しながら “Hi, where are you from?” と声をかけた。

この緊張感が、スマホアプリの英語学習とは次元が違った。

目の前に人がいて、相手がこっちを見ている(少なくともそう感じる)。返事を待っている。この「生身の人間とリアルタイムで向き合っている」プレッシャーの中で英語を絞り出す体験は、テキストベースのチャットや、AIとの会話練習では絶対に味わえない。

Duolingo・HelloTalkでは越えられない壁

僕自身、語学学習アプリをいくつか試してきた。Duolingoは半年くらい続けたし、HelloTalkも使ったことがある。

これらのアプリは、よくできている。特にDuolingoのゲーミフィケーションは秀逸で、「毎日続けさせる」仕組みとしては完成度が高い。HelloTalkもネイティブスピーカーとテキストで交流できるという点では画期的だ。

でも、ある壁がある。

「離脱させない」ことに特化しすぎている。

連続ログインボーナス、ランキング、通知。これらは学習を続けるための仕掛けであって、英会話力を伸ばすための仕掛けではない。

英語が「話せる」ようになるには、結局のところ、実際に人と喋るしかない。インプットだけでは足りなくて、リアルタイムで考えて、口から英語を出す経験を積む必要がある。

HelloTalkのテキストチャットは、リアルタイム性が弱い。考える時間がたっぷりあるし、辞書を引きながら返信できる。それはそれで勉強になるけど、実際の会話力には直結しにくい。

VRチャットの強さ:緊張感 × スピード感 × 自由度

VRチャットでの英会話が強力だと感じた理由は3つある。

1. 緊張感がちょうどいい

対面の英会話教室ほどフォーマルではないけど、スマホアプリよりはずっと緊張する。アバター越しとはいえ、相手の声が聞こえて、こっちを向いている。この「ほどよい緊張感」が、実践的な英会話力を鍛えるのにちょうどいい。

2. スピード感がリアル

テキストチャットと違って、会話のスピードは容赦ない。相手は返事を待ってくれるけど、沈黙が長いと気まずい。この「考える暇がない」環境が、瞬発力を鍛えてくれる。

3. 相手と環境を自由に変えられる

これが地味にすごいポイントだと思った。英会話教室だと先生は固定だし、場所も時間も決まっている。VRチャットなら、好きなタイミングで入れるし、合わないなと思ったら別のワールドに移ればいい。いろいろな国籍の人と話せるから、多様なアクセントや表現に触れられる。

そして何より、好きなタイミングで退出できる。これは初心者にとってめちゃくちゃ大きい。「もう限界」と思ったらすぐ抜けられる安心感があるから、逆に思い切って飛び込める。

友人の実例:日本語のみ → 3言語を操る人間に

僕がVRチャットの可能性を確信したのは、目の前の友人の変化を見たからだ。

大学時代、彼は日本語しか話せなかった。英語の授業も苦手で、外国語にはまったく縁がないタイプだった。

それが今、彼は中国語・韓国語・英語を流暢に話す。

「えっ、どうやって?」と聞いたら、答えはシンプルだった。

「VRチャットで毎日いろんな国の人と喋ってたら、できるようになった」

留学もしていない。語学学校にも通っていない。VRチャットで、中国語を話すワールドに入り浸り、韓国語のコミュニティに参加し、英語はもう日常的に使っている。

語学学習において「環境」がいかに大事かを、彼の存在が証明していた。そしてVRチャットは、その「環境」を自宅のリビングから手に入れられるツールだった。

語学学習の未来はVRの中にあるかもしれない

もちろん、VRチャットは語学学習ツールとして設計されているわけではない。教材もなければ、カリキュラムもない。文法を体系的に学ぶには向いていないだろう。

でも、「実際に使える語学力」を身につけるための実践の場としては、現時点で最強かもしれない。

Duolingoで基礎を固めて、VRチャットで実践する。HelloTalkで読み書きを鍛えて、VRチャットで会話力を磨く。それぞれの強みを組み合わせるのが、今のところ最適解なのかもしれない。

教員としても、この可能性には注目している。英語の授業で「ALTと話す時間」は限られているし、生徒が英語を実際に使う機会はほとんどない。VR技術が進歩して、教育現場にも導入されるようになったら、語学教育は大きく変わるかもしれない。

友人宅での何気ないVR体験が、こんなに深い気づきにつながるとは思わなかった。テクノロジーの可能性って、実際に体験してみないとわからないものだなと改めて感じた一日だった。

Share: 𝕏